一人親方は本当に大丈夫なのか?一人親方の制度や年収について、成功法まで徹底解説!
ここ最近では、「一人親方やめとけ」「一人親方制度廃止」などといったネガティブな意見が散見される中、一人親方の今後はどうなっていくのか?
予測も含め、親方プラスが独自に長年蓄積したデータと経験値、調査をもとに建設業に従事する一人親方の実態についてわかりやすく解説します。
一人親方として仕事をされている方、これから一人親方として独立を考えている方などの参考になれば幸いです。
一人親方制度と今後について
一人親方とは、前提として会社(法人)や個人(事業主)から雇用されず、元請事業者から仕事を請負って(業務委託)単独で仕事をする方を言います。
また、家族以外の他人従業員(アルバイト)は年間99日以上は使用せずに特定の業種に限ってのみ仕事をする方が一人親方です。※配偶者を専従者として雇うケースや子供と一緒に仕事をすることもあります。
一人親方の働き方は2パターン
- 《複数の元請企業から仕事を受注している》・・・自分の得意分野(大工工事・内装工事など)に特化して、定期的に複数の元請から継続的に仕事を受注し、すべて自分の責任下で現場規模によっては数人の子方を常時使いながら仕事を回す、いわば「親方」と呼ばれる立場。
- 《特定の元請会社から仕事を受注している》・・・材料や資材などは元請から提供され、労務費(人工代)だけで工事を請け負う、一般的には「手間請け」と呼ばれる働き方です。※この働き方は、後述しますが「偽装一人親方」としてみられる可能性があるので注意が必要です。
一人親方制度が廃止されることはあるのか?
結論から申し上げると、一人親方制度の廃止は一度も議論されたことはありませんんし、そもそも無くすこともできません。
なぜならば、建設業界にとって一人親方は無くてはならない存在であり業界としても職人不足で悩まされている中、廃止をすることでかなりの一人親方が建設業界から離れることになります。そして職人不足が加速することになり兼ねないのです。
では、どこかの建設会社の社員として働けばいいじゃない?と思うかもしれませんが、そもそもサラリーマンのような時間の拘束、色々な制約、組織環境は働きづらい、そういった理由などから一人親方としての働き方を選んでいる方々が多いのが現実です。
そんな一人親方がすんなりサラリーマンになるでしょうか?
一人親方は一般的な個人事業主としての働き方と基本は変わりません。他業種の個人事業主はOKで、建設業の一人親方がNGになるのは公平性が保たれないのではないでしょうか。
したがって、一人親方制度が今後なくなる可能性は限りなく低いと思われます。
ただ、下記の問題については目を背けることはできません。
【偽装一人親方問題】
この問題は、一人親方を使う元請企業が社会保険料の負担軽減を目的として、雇用されている社員と同等の労働形態で一人親方と請負契約の形式で取引されていることです。
この状況を危惧し、政府は令和2年10月から建設業許可の取得に社会保険加入が必須にするなどの施策を導入しています。
ただ、真っ当な請負契約で一人親方として働く分には何の問題もありませんし、需要が無くなることもありません。
★偽装一人親方について詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。
https://oyakata-plus.jp/column/impersonation/
【建設業界の2024年問題】
建設業界として、常態化してきた長時間労働や不十分な休暇日数などを是正し、老若男女問わずよりよい労働環境の整備が求められています。
労働基準法では、会社に雇用される人に対して適用され一人親方やフリーランスの形態で働く人は適用外です。しかし、国土交通省が定める適正な工期設定のガイドラインによって、一人親方も例外ではありません。
例えば、労働時間が制限されることで、1日当たり作業できる時間が今までよりも減少するのでそれに伴い収入も減少するリスクがあります。
【対応策】
一人親方本来の高度な技術をさらに磨いて維持していくことは基本となりますが、同じ職種の仲間でタッグを組みチームで作業スピードを上げて、数をこなすことが大切です。
そうすれば各々の現場で重宝されることが考えられますし、今までよりも高単価で仕事を受注でき、短時間でも高い生産性を上げることができるかもしれません。
いずれにしても、今後の一人親方は柔軟な対応と技術の維持向上、協力体制の強化が重要となってきそうです。
一人親方も建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録が必要?!
建設キャリアアップシステム(CCUS)は、日本の建設業界で働く技能者のスキルや経験を一元管理するシステムです。2019年に国土交通省の支援により導入され、建設事業に従事する人々のキャリア形成でこのシステムを利用することで、技能者の技術や経験が見える化されるため、業界全体の労働環境の改善と人材育成が期待されています。
★建設キャリアップをもっと詳しく知りたい方は⇒https://oyakata-plus.jp/column/ccus-future/
一人親方はCCUSに登録は必要なのか?
結論から言うと一人親方にとって、建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録は義務ではありませんが、登録することによってメリットがあります。
技能者として登録しておくと、各現場においての実績が積み上がり元請企業や他の取引先からの信頼性に繋がるため新規取引先の開拓にも役立ちます。自分の技術やキャリアを客観的にアピールできるので今のうちから登録することをおすすめいたします。
逆にデメリットとしては、登録・維持にかかるコストです。CCUSの登録は、一人親方は事業者登録は基本無料ですが、手続きを代行する場合は手数料(10,000円~20,000円が相場)がかかります。
また、良いも悪いも自分の能力や実績がオープンになるということです。どう考えるかはご自身の問題ですが、今後は元請事業者もCCUSの実績を基準として仕事を発注することが増えてきそうです。今のうちから準備されることをおすすめいたします。
【公式】建設キャリアアップシステムHP⇒https://www.ccus.jp/
一人親方の年収は?職種ごとの単価に大きな差が!
一人親方として独立したら本当に稼げるの?どのくらいの年収になるの?一人親方のそんな気になる収入についてみていきましょう!
【職種別にみた一人親方の年収・職人単価】
職種 | 年収 | 単価 | |
1位 | 防水 | 593万 | 24,727円 |
2位 | 設備 | 592万 | 24,693円 |
3位 | 配管 | 546万 | 22,730円 |
4位 | 内装 | 536万 | 22,321円 |
5位 | 塗装 | 524万 | 21,845円 |
6位 | 電工 | 521万 | 21,728円 |
7位 | 大工 | 509万 | 21,223円 |
8位 | 土木 | 496万 | 20,652円 |
9位 | 解体 | 479万 | 19,967円 |
10位 | 左官 | 468万 | 19,503円 |
※参照元:全建総連東京都連合会 2023年賃金調査報告書より ランキングや金額は年度により変動します。
1位の防水工事業と10位の左官工事業では、約130万近く年収の差がありました。この賃金調査において、一番回答数が多かったのは大工工事業と電気工事業でした。
建設業種は29業種ある中で、上位ランキングしている設備・配管・電工については、インフラ工事(公共工事)などを受注することも多いため、高単価で安定的な収入を得られる可能性が高いといえます。
一人親方として独立して手掛ける職種としては人気も高いのではないでしょうか。
一人親方が年収・職人単価を上げるためには?
せっかく一人親方として独立したのであれば職人単価を上げるために工夫をしたいものです。
独立前からできることもあるので、一人親方になることをご検討されている方は今からでも始められます。少しでも早く単価アップを叶えたい方は、下記のポイントを押さえましょう。
日当の高い職種を選ぶ
一人親方は、職種によって日当が大きく異なります。日当の高い職種を選んで独立することで、年収を上げられる可能性が高くなるでしょう。
現職で経験を積んでキャリアを築き職長になる、技術を磨いて資格の取得を目指すなど、実績が証明できるものがあれば、独立もしやすいでしょう。
一人親方になる際は、どの職種で独立するかを吟味することで、日当を上げられるといえます。
高単価・長期案件を受注する
一人親方として仕事を請け負う際は、高単価・長期案件を受注するように心がけましょう。同じ作業でも依頼先によって単価は上下するものです。単価が低いか高いかを判断できるように、相場を理解しておくことも重要になります。
一人親方の単価の相場を理解しておけば、低単価で依頼された案件に対して価格交渉ができるなど、単価アップを実現できることもあります。また、長期案件であれば作業日が多くなる分、日当を合計した報酬も比例して大きくなるでしょう。
単発の案件を請け負うと、収入が安定しないという不安を抱える可能性もあります。長期案件で収入の確保を目指すことは、一人親方としてやっていくために重要といえるでしょう。
働く時間や日数を増やす
確実に日当を上げるためには、働く時間や日数を増やすことが大切になります。とてもシンプルな方法にはなるものの、収入を確保するうえで重要な考え方です。
独立前は会社の雇用のもと働くため、作業時間や勤務時間の契約のもと働きます。しかし、独立後はご自身でスケジュールを自由に決められる分、作業量を減らせば収入も減ってしまいます。
働く時間や日数を確保できるよう、日頃から新規案件の獲得に向けて動くなど、未来を見据えた行動とスケジュール管理が収入を大きく左右します。
資格を取得する
一人親方における日当は、職人がクライアントに提供できる価値と需要によって決まります。自身の価値に希少性を持たせるべく、資格を取得するという手段も日当を上げるポイントになるでしょう。
より難易度の高い資格を所有すれば、仕事の幅が広がるなど日当アップを期待できます。資格は技術や能力を証明できるものなので、クライアントにとっても作業を任せられるかどうかの判断材料のひとつになります。
安心して仕事を任せられると思ってもらえれば、継続して案件を獲得できるなど、長期的に見ても収入増加につながるでしょう。
サイトやSNSで集客する
サイトやSNSを活用して集客をすることで、日当を上げられることがあります。サイト・SNSにて技能をアピールすれば、営業を持ちかけなくても案件が獲得できるなど、守りの営業ができます。
このような直案件における日当は、クライアントで直接話し合って決めることが多いです。そのため、希望の日当を交渉できるなど、結果的に日当を上げることにつながるでしょう。ネットにおける集客は、独立前から始められます。
リピーターを獲得する
リピーターを獲得することで収入が安定し、全体的な収入を上げることが可能です。一つひとつの依頼を丁寧に対応することで信頼関係を築けば、繰り返し依頼をいただけることもあります。
また、リピーターが増えれば自分から営業する手間も省けるので、営業にかかる負担を仕事の作業にあてることもできるでしょう。
節税知識を身につける
独立後の収支では、自身で経費や税金の支払いを計算し、まかなう必要があります。そのため、節税対策を心がけることで、手取りを増やす工夫ができます。
一人親方ができる節税対策として、確定申告での対応があります。確定申告の際に控除できる項目を把握しておき、漏れがないよう正確に申告をすることが重要です。申告できる項目としては、生命保険料控除や労災保険料・各種経費、事業専従者控除など、漏らすことなく申告しましょう。
一人親方の制度や年収、成功法についてのまとめ
ここ最近では、「一人親方やめとけ」「一人親方制度廃止」などといったネガティブな意見が散見される中、一人親方の今後はどうなっていくのか?そんな不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
安心してくだい!一人親方の制度は無くなりませんし、無くすこともできません!なぜなら、人手不足の建設業界で職人は必要不可欠だからです。むしろ元請事業者は頼らざるをえないはずです。国のインフラを支えているのは手に職をもった一人親方なのです。
ただ、「2024年問題」「偽装一人親方問題」など建設業界が抱える問題点はまだまだあります。その問題に引きずられないためにも「建設キャリアアップシステム」に登録をして、今から経験値と技能を蓄積し証明できる形を整えておくことが大切だと考えます。
一人親方の年収については、設備・配管・電工などのインフラに関わる職種が上位にきています。高単価で安定的に仕事を受注するには職種選びも大切です。
収入を上げるために工夫できることもたくさんあります。一人親方は経営者意識を高くもって、スキルを磨きながら収入アップを目指しましょう。
投稿者プロフィール
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いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
『建設業界を元気にしたい!』そんな思いで建設業に従事する方々が抱える問題点や悩み事に少しでもお役に立てれば幸いです。
【略歴】
・2011年 某外資系保険会社に入社
・2013年 労災保険特別加入団体の運営を開始
・2016年 大手生命保険会社100%出資代理店へ転身
・2024年 一人親方労災保険連合会【親方プラス】を設立 現在に至る
【趣味・特技】
キャンプ、つり、スキー、サッカー、ゴルフ…etc
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