一人親方が労災保険に未加入だと危険な理由とは
一人親方として建設業に従事する場合、特別加入労災保険に加入することができます。加入は任意ではありますが、仕事を請負う際に元請会社から労災保険の加入有無を問われることが増えてきてきました。その理由としては、現場で一人親方が事故に遭ってケガをした場合、元請会社の労災保険は適用されないからです。もし労災保険に未加入だと仕事に重大な影響と致命的な経済的リスクを負うこともありますので、ここではそんな危険が潜んでいる理由をわかりやすく解説します。
一人親方労災保険に未加入のリスクは3つ
一人親方が労災保険に未加入だった場合に大きく3つのリスクが発生すると可能性があります。どれも周りや自身に大変重大な影響を及ぼします。
①一人親方には元請会社の労災保険は適用されない
元請会社からみて、一人親方は一部の業務を請負って協力してくれる個人事業主であり、会社の従業員(労働者)ではありません。
労災保険の性質上、会社に雇われている従業員が業務中または通勤中に事故に遭いケガをした場合に適用される保険です。
したがって、元請会社の現場であっても労災保険を一人親方に適用するこはできないのです。
▼未加入で事故に遭うと大変なことに・・・
労働基準監督署の立ち入り調査を受けることもあり、現場はその時点でとまってしまいます。さらに労災保険未加入だと、現場を管理する元請会社が『安全配慮義務違反』などで指導を受けることも考えられます。
そうなると元請会社に迷惑をかけるうえ、信用問題で今後の付き合いも難しくなる可能性もあります。
②労災事故は健康保険は使えない?!
原則として、現場や通勤中に起きた労災事故を起因として病気やケガを負った場合は、公的健康保険の適用外となります。
本来、健康保険は業務外での病気やケガに対して医療費の給付を受ける制度です。
もし、労災保険未加入だった場合は全額自己負担となり、その支払い額が高額になることも!
▼もし健康保険を使ってしまったら・・・
万が一、健康保険で治療をしてしまった場合は、加入している健康保険組合又は協会けんぽへ労災事故であったことを報告し、健康保険で適用になった分の医療費を返納しなくてはなりません。
労災保険に加入していれば、労災請求をしてその給付金を返納金にあてることができますが未加入の場合は多大な経済的負担が生じる場合があるので注意が必要です。
③一人親方は建設現場に入場することができない
原則、労災保険に未加入の一人親方は現場に入場できません。なぜならば、仕事を一人親方へ発注する元請会社は国土交通省の指導により『安全配慮義務』を負うことになっており、従業員ではない一人親方だったとしても労災事故を起こしてケガをした場合に責任の所在は元請会社に帰属するからです。
前述したとおり、一人親方は元請の労災保険には加入できないため労災事故が発生しても十分な補償が受けられるよう、現場に入る前に元請は一人親方の労災保険加入状況を確認し、未加入の場合は即日加入するよう求めているのです。
▼不正に加入していると偽って現場に入場すると・・・
以前、加入していた労災保険の加入証明書のコピーなどを提出してあたかも現在加入しているかのように見せかけるなど不正に現場に入場する事例も発生しています。
最近では、元請事業者が特別加入団体へ連絡し、対象の一人親方の加入状況を確認することも多くなっています。もし、未加入のまま事故を起こしてその事実が判明した場合、元請に迷惑をかけるほか本人も大きなペナルティが課せられる可能性もありますので、絶対に不正をしてはいけません。
元請会社に言われる前に労災保険の準備を!
建設業一人親方として、仕事に従事するということは現場で起きたことは仕事を請負った一人親方に責任があります。
例えば、自分の不手際によって人や物に対して損害を与えてしまったら元請会社は守ってくれません。損害賠償請求をされても自分で責任をとるしか他なりません。これは自分以外の人や物に対してのリスク。そのリスクに備えるのが工事賠責保険といった民間の保険会社が提供する保険に加入するといった解決策があります。
では、自分に対しての補償は?一人親方は、職人です。自分が作業をし工期までに成果物を仕上げることではじめて報酬が発生するわけですから、万が一現場でケガをしてしまい一定期間仕事を休むことになったら収入が大幅に減少または無くなってしまいます。
そんなときに労災保険に未加入だと自分と家族が金銭的に大きなダメージを負うことにもなり兼ねません。労災保険は、一人親方にとっていわばセーフティーネットといえるでしょう。
▼労災保険は補償が手厚い
労災保険は国が準備した費用対効果の良い手厚い補償です。少ない掛け金で万が一のケガや病気にたいして、治療費は完治するまで無料です。さらに、就労不能となり仕事を休んでいる期間は休業補償(生活費)や、万が一の際は、遺族への補償まで準備されています。
★詳しくはこちら⇒特別加入のしおりから抜粋(出典元:厚生労働省)
■一人親方労災保険のご加入をご検討の方はこちら⇒親方プラス
投稿者プロフィール
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いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
『建設業界を元気にしたい!』そんな思いで建設業に従事する方々が抱える問題点や悩み事に少しでもお役に立てれば幸いです。
【略歴】
・2011年 某外資系保険会社に入社
・2013年 労災保険特別加入団体の運営を開始
・2016年 大手生命保険会社100%出資代理店へ転身
・2024年 一人親方労災保険連合会【親方プラス】を設立 現在に至る
【趣味・特技】
キャンプ、つり、スキー、サッカー、ゴルフ…etc
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