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労災保険は個人事業主も対象か。一人親方の特別加入から仕組みまでしっかり解説

労災保険は個人事業主も対象か。一人親方の特別加入から仕組みまでしっかり解説

個人事業主として働く方々にとって、万が一の事故や怪我に備えた保障は、事業の継続において極めて重要です。特に建設業など危険を伴う業種の一人親方として活動している方々は、日常的にリスクと隣り合わせの環境で働いています。

本記事では、個人事業主でも加入できる労災保険制度について、特に一人親方向けの「特別加入制度」に注目し、その仕組みやメリット・デメリット、具体的な保障内容までを詳しく解説します。

労災保険とは?基本的な制度をおさらい

まずは労災保険の基本的な制度を確認しましょう。

労災保険(正式名称:労働者災害補償保険)は、労働者が業務中または通勤中に怪我、病気、あるいは死亡した場合に、医療費や休業補償などの給付を行う国の公的保険制度です。

原則は「事業者」が加入

原則として、労働者を雇用する事業者が加入し、従業員が自動的にその対象となる制度です。個人事業主は基本的に労災保険の対象とはなりません。

個人事業主は労災保険に入れない(例外アリ)

前述の通り、労災保険は「労働者」のための制度であるため、事業主は原則として対象外です。

しかし、一定の条件を満たせば、一部の事業主は「特別加入制度」を利用できます。この制度は業務内容の性質上、高リスクな環境で働く特定の事業主に対して、労働者に準じた保障を提供するために設けられました。

以下よりその対象について説明します。

特別加入制度の対象者

特別加入制度の対象者は、主に以下の3つのグループに分類されます。

対象グループ 定義
中小事業主等 従業員300人以下の事業主(金融業・保険業・不動産業・小売業は50人以下、卸売業・サービス業は100人以下)とその家族従業員
一人親方等 建設業、運送業、漁業などの特定業種で働く個人事業主
特定作業従事者 機械を使用する農作業従事者など、危険・有害作業に従事する個人

主に中小事業主、一人親方等、特定作業従事者の3種類の対象がいます。それぞれに該当するかどうかは作業内容などによって異なるため、加入前に確認が必要です。

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一人親方の特徴を理解する

ここからは、個人事業主の一形態である一人親方について解説していきます。この記事を読む方は個人事業主が想定されるため紹介の中心とさせていただきます。

一人親方とは、主に建設業などに従事し、従業員を雇用せず、個人で請負業務を行う個人事業主のことを指します。対象となる職種には、大工、とび職、左官、電気工事士など、多岐にわたる職業が含まれます。

こうした一人親方は、日常的に高所作業や重機操作など、危険性の高い作業に従事することが多いため、労働災害のリスクが常に存在します。

保障が手薄くなりがちな一人親方

建設業などの業種における労働災害の発生率は他業種に比べて高く、一人親方はその中でも特に保障が手薄になりやすい立場です。

また、万が一事故に遭っても、一般の労災保険に自動的に加入できないため、十分な補償を受けられず、収入や生活に深刻な影響を及ぼす可能性があります。こうした背景から、一人親方向けの労災保険制度が重要視されています。

一人親方、ならびに一人親方労災保険については以下の記事でも詳しく紹介しています。ご覧ください。

→ 一人親方とは
→ 一人親方労災保険とは

一人親方労災保険の補償内容を紹介

一人親方が特別加入制度を通じて加入できる労災保険は、主に「一人親方労災組合」などを通じて申し込む形式となります。加入することで、以下のような補償が受けられます。

給付の種類 補償内容
療養補償給付 業務上の負傷や病気にかかる医療費を全額補償
休業補償給付 休業4日目以降、給付基礎日額の80%を支給
障害補償給付 後遺障害が残った場合に等級に応じた一時金または年金
遺族補償給付・葬祭料 万が一の死亡時、遺族に対して支給
介護補償給付 重度障害により介護が必要となった場合の費用支援

さらに通勤中の事故(通勤災害)も補償の対象になる点は、非常に重要なポイントです。ただし、通勤途中に経路を大きく逸脱したり、私的な用事で中断した場合は、補償の対象外になることがあります。

給付基礎日額と保険料の関係

給付基礎日額は、実際に支給される補償額の算出基準となる金額です。3,500円から25,000円の間で選択可能であり、選択額に応じて保険料が変動します。

たとえば、建設業の一人親方が給付基礎日額10,000円を選択した場合、年間保険料はおおむね5万円前後となるのが一般的です。

給付基礎日額の上限は年度により見直されることがあるため、最新の金額は厚生労働省の告示をご確認ください。

金額については以下でも紹介しています。コチラもご覧ください。

→ 一人親方労災保険の金額
→ 加入費用の詳細

加入によるメリット・デメリットを整理

労災保険に加入することには、個人事業主や一人親方にとって多くのメリットやデメリットがあります。

メリット

まず最大のメリットは、安心して働ける環境が整うという点です。万が一、業務中や通勤中に事故が発生しても、治療費や休業補償が公的制度により支払われるため、経済的な不安を大きく軽減できます。また、労災保険は国が運営する公的保険制度であることから、その信頼性や安定性も非常に高く、長期的な安心感があります。

さらに、通勤中の災害も補償の対象となる点も重要です。作業現場への移動中に起こった事故も保険の範囲内で補償されるため、現場を転々とする一人親方にとっては特に心強い仕組みです。加えて、支払った保険料は事業の経費として計上できるため、税務上の負担軽減にもつながります。

デメリット

一方で、いくつかのデメリットもあります。例えば、加入手続きには書類の準備や申請が必要であり、やや煩雑と感じる方もいるかもしれません。また、補償額の基準となる「給付基礎日額」には上限が設けられているため、実際の収入が高い方にとっては補償が物足りなく感じる場合もあります。

さらに、個人事業主の場合は、事故や疾病が業務に起因するものであることを証明しなければならず、業務との因果関係を明確にする必要がある点も注意が必要です。

こうしたメリットとデメリットをよく理解した上で、自分にとって最適な保障内容を検討することが重要です。

労災保険が適用される例

ここからは、個人事業主(一人親方)がどんな労働災害に見舞われ、またどんな補償が想定されるかを説明していきます。

転落事故の例

 住宅建設作業中に足場から転落し腰椎骨折するようなケースが想定されます。

このような場合、3か月程度の入院と6か月のリハビリが必要になることもありますが、労災保険に加入していれば医療費は全額補償の対象となります。また休業期間中も給付基礎日額に基づく補償が受けられるため、収入が途絶える心配なく療養に専念できます。

慢性疾患の例

左官業などの身体に負担がかかる作業を長年続けることで、腰痛などが悪化し手術や長期療養が必要になるケースも考えられます。

業務との因果関係が認められれば、こうした慢性疾患も労災として認定され、治療費と休業補償を受けることができます。労災保険に加入していなければ、医療費と収入減による二重の経済的負担を被ることになるでしょう。

【注意】このような慢性疾患が労災認定されるかどうかは、業務との因果関係や診断内容などをもとに労働基準監督署が審査します。

通勤災害の例

作業現場へ向かう途中で交通事故に遭い、骨折や頭部外傷を負うようなケースも起こり得ます。

労災保険では、こうした通勤中の事故も「通勤災害」として認定され、医療費と収入補償を受けることができます。一人親方の場合、複数の現場を移動することも多いため、この保障は特に重要です。

労災保険のカバー範囲を考えれば加入はマスト

以上からもお分かりの通り、特に一人親方にとって労災保険は非常に重要で、複数のリスクをカバーすることができます。

労災保険の特別加入は国が認可した団体を通じて入ることができます。当団体では以下のような充実のサービスと安価な料金で、多くの一人親方をサポートしています。

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労災保険は大事な命綱として機能する

建設業などの高リスクな現場で働く一人親方にとって、労災保険は単なる保険商品ではありません。毎日の仕事の中で突発的に起こり得る事故や、長年の作業による身体への負担といったリスクから、自身の命や生活、家族の暮らしを守るための「命綱」と言える重要な制度です。

一人親方の場合は、自らの判断で加入を選び取る必要があります。だからこそ、「知らなかった」「備えていなかった」では済まされない現実的なリスクに対して、特別加入制度を活用して積極的に備えることが求められます。

特別加入制度を利用することで、業務中や通勤中の事故、作業による疾病に対して国からの手厚い補償を受けることができ、突発的な収入の断絶や医療費の負担を大幅に軽減することが可能になります。それにより、予期せぬトラブルが発生した際にも、安心して治療や療養に専念できる環境が整います。

自分だけでなく家族も守る

また、これはご自身の身を守るだけでなく、ご家族の経済的な安定を守るための大きな意味を持ちます。特に一家の生計を一人で担っている一人親方にとって、保険に加入しているかどうかは、将来への備えとして大きな差となって現れることは間違いありません。

万が一の事態に備えることは、事業を持続的に発展させていくための土台であり、信頼ある職人・プロフェッショナルとしての責任の一部でもあります。

ぜひ、最寄りの労働基準監督署や一人親方労災組合に相談し、自分自身の仕事と生活を守るために、今すぐ適切な労災保険への加入を検討してみてください。

投稿者プロフィール

一人親方労災保険連合会 浅井淳平
一人親方労災保険連合会 浅井淳平代表理事
いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
『建設業界を元気にしたい!』そんな思いで建設業に従事する方々が抱える問題点や悩み事に少しでもお役に立てれば幸いです。
【略歴】
・2011年 某外資系保険会社に入社
・2013年 労災保険特別加入団体の運営を開始
・2016年 大手生命保険会社100%出資代理店へ転身
・2024年 一人親方労災保険連合会【親方プラス】を設立 現在に至る
【趣味・特技】
キャンプ、つり、スキー、サッカー、ゴルフ…etc
 
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