建設業の労災保険を完全解説! 一人親方や元請け・下請けの関係は

建設業は、大工や左官工、土木工事など多種多様な職種がありますが、その多くに危険が伴います。
それだけに、もしものケガや事故の際、労災保険の補償があることは非常に重要です。安心感や労災に遭った際の金銭補償は大変に大きいのです。
この記事では、建設業の下請けの労災保険に関する詳細を解説します。下請けの労災保険の仕組みや一人親方の仕組みにも触れますので、ぜひご覧ください。
建設業と労災保険
建設業の職種は非常に幅が広いです。主に以下のような職種がメジャーと言えます。
建設業の主な仕事
職種 | 仕事内容 |
---|---|
施工管理 | 工事の進行管理、安全管理、品質管理などを行う |
大工 | 木造建築の骨組みや内装を組み立てる |
鉄筋工 | 建物の基礎となる鉄筋を組み立てる |
型枠大工 | コンクリートを流し込むための型枠を作る |
左官工 | 壁や床をコテを使って仕上げる |
電気工事士 | 建物の電気配線や設備の設置・メンテナンスを行う |
設備工 | 給排水・空調・ガス設備の施工・保守を行う |
重機オペレーター | クレーンやショベルカーなどの重機を操作する |
とび職 | 高所作業を行い、足場の組み立てや鉄骨の設置を担当 |
解体工 | 建物や構造物を解体し、撤去作業を行う |
土木作業員 | 道路や橋、トンネルなどの公共工事を担当 |
ご覧の通り、いずれも危険が伴う仕事であることがわかります。
建設業の労災保険
通常、労災保険は企業ごとに加入し、その企業の労働者に適用されます。
しかし、建設業では工事現場全体が一つの事業となります。この場合、元請会社が現場単位で加入する仕組みになっています。
このため、元請だけでなく下請の労働者も労災保険の対象となり、下請会社の労働者が個別に加入する必要はありません。また、保険料は元請会社が全額負担するため、下請会社に負担はありません。
補償を受ける際は、元請会社の労働保険番号を記載して請求手続きを行います。建設業ではこの仕組みにより、現場全体の安全を確保しています。
建設業の現状や労災保険番号等については、以下の記事でも詳しく記載していますので、こちらもぜひご覧ください。
→ 建設業界の現況は?
→ 労災保険番号について
補償内容
労災保険の加入により、仕事中や通勤中のケガ・病気に対して、主に以下の補償を受けられます。
補償内容 | 具体的な給付内容 |
---|---|
療養補償 | 治療費が全額無料(自己負担なし) |
休業補償 | 仕事を休んだ期間の**給与の80%**が支給 |
障害補償 | 後遺症が残った場合に一時金または年金が支給 |
遺族補償 | 仕事中の事故で死亡した場合、遺族に補償金が支払われる |
ケガの治療費が全額無料になること、休業中も給与の80%が支給されるなど、安心して仕事に集中することができるでしょう。
【注意】元請けは加入しないと大変
建設業の元請けが労災保険に加入するのは義務であり、下請け業者の労働者の保険料も負担しなければなりません。
仮に未加入のまま労災が起こってしまった場合でも、補償に必要だった額の最大100%が請求されます。さらに未加入だったことによる追徴金や延滞金も課せられることに……。
任意ではなく義務。下請けを使う元請け業者は、必ず労災保険に加入しましょう。
また、下請け業者の社長や役員、さらに一人親方は以下の特別加入をしておきましょう。
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労災保険が適用されない下請け労働者
元請けが加入する労災保険は、下請け労働者に適用されます。ただ、適用されない労働者もいます。
現場「以外」の下請け労働者
元請け単位で加入する下請けの労災保険は「現場」を対象としたものであり、現場作業をする「以外」の労働者には適用されません。
例えば下請け業者の事務員、資材や工具の管理業務など、現場そのものとは異なる業務をしている方などは労災保険対象とはなりません。企業単位で労災保険に入る必要があります。
一人親方は元請け加入の労災保険は適用外
下請けからの請負で建設の現場作業をしていても、一人親方では元請けの労災保険は適用外となります。一人親方は労働者ではなく「個人事業主」の扱いとなるからです。
一人親方の詳細については以下の記事で詳しく解説しています。こちらも併せてご覧ください。
一人親方は労災保険の特別加入を
建設業関連の一人親方に、元請けの労災保険は適用されません。
ですが、一人親方であっても建設業務の危険さや事故のリスクは同じです。労災保険がない不安は決して小さくないでしょう。
そのため、一人親方には任意での労災保険「特別加入」があります。
特別加入は、国の労働局から認可を受けた特別加入団体に入ること可能となります。補償内容は通常の労災保険と同じとなります。
一人親方の労災保険加入は任意ですが、大手ゼネコン系列の下請け仕事を受注する際は、ほぼ必須となります。これは、下請契約書や安全書類などに労働保険番号の記載が求められるためです。
一人親方は労災保険に必ず加入しましょう。当団体では充実のサービスを用意して一人親方の特別加入をサポートしています。
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【補足】下請け業者の社長や役員も対象外
下請け業者の社長や役員の方も、労働者ではないので元請け労災保険の対象にはなりません。
業者によっては、社長や役員でも現場で働く人もいらっしゃるでしょう。その場合は前述の特別加入が可能です。
労災保険料の算出
建設業において、労働者の労災保険と、一人親方・社長の労災保険特別加入とでは、労災保険料の算出方法がやや異なります。
通常、企業での労災保険料は「賃金総額×労災保険率=労災保険料」で計算しますが、建設業は現場全体で加入するため、元請けが下請けも含め一人一人の賃金を把握することが難しくなるため、異なる算出方法を用います。
建設業労働者の算出
労働者の労災保険料の算出方法は以下となります。
「請負金額×労務費率×労災保険率=労災保険料」
労務費率と労災保険料率は業務内容によって異なりますので、工事ごとに確認した方が良いでしょう。
一人親方特別加入は給付基礎日額で選ぶ
一人親方の労災保険特別加入は給付基礎日額(労災時の1日あたりの給付額)に応じて保険料を任意で選びます。自身の収入に見合った金額を設定しましょう。
給付基礎日額は、以下の範囲で用意されています。
- 25,000円
- 24,000円
- 22,000円
- 20,000円
- 18,000円
- 16,000円
- 14,000円
- 12,000円
- 10,000円
- 9,000円
- 8,000円
- 7,000円
- 6,000円
- 5,000円
- 4,000円
- 3,500円
また、労災保険料の他、団体の入会金や会費などが上乗せされ、その合計を支払うこととなります。
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建設業の労災保険は絶対!
建設業において重要な労災保険の仕組みについて解説してきました。
同じ労災保険でも会社員などの労働者と、一人親方や会社役員では加入プロセスや仕組みも大きく異なることがわかります。
ただ、補償の手厚さは同じですので、立場の違いに関係なく、自身が労災保険に入っているのか、自ら入らなければならないかなどはチェックしておきましょう。
特に建設業は労災保険が必須の現場も多くなるため、特に任意加入である一人親方等は必ず特別加入しておく必要があります。
投稿者プロフィール

- 代表理事
-
いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
『建設業界を元気にしたい!』そんな思いで建設業に従事する方々が抱える問題点や悩み事に少しでもお役に立てれば幸いです。
【略歴】
・2011年 某外資系保険会社に入社
・2013年 労災保険特別加入団体の運営を開始
・2016年 大手生命保険会社100%出資代理店へ転身
・2024年 一人親方労災保険連合会【親方プラス】を設立 現在に至る
【趣味・特技】
キャンプ、つり、スキー、サッカー、ゴルフ…etc
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