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【一人親方も重要】建設業界の現況は?そして今後の課題や取り組みについて

【一人親方も重要】建設業界の現況は?そして今後の課題や取り組みについて

日本の建設業界は労働者人口の減少により深刻な人手不足に直面しています。国土交通省調査では就業者の約3分の1が55歳以上、29歳以下はわずか約11%という高齢化が進行中です。

この状況に対応するため、業界は技能実習制度や特定技能制度を活用した外国人労働者の受け入れを拡大し、建設現場の多国籍化が進んでいます。同時に、ICT施工の普及による省人化や建設DXの推進で労働集約型からの脱却を図っています。

また、現場環境の改善や週休二日制導入などの労働環境向上にも取り組み、人材確保を目指しています。

この記事では建設業界の現況、その上で注目されている一人親方について解説していきます。

外国人労働者の急激な増加

厚生労働省の外国人雇用状況の届け出によると、建設業界ではここ5年間で約2倍近く外国人就労者数が増えています。

この急増は、2019年4月に新設された「特定技能」制度が大きく貢献しています。特定技能制度は、深刻な人手不足に対応するために創設された在留資格であり、建設業はその対象業種の一つとなっています。

期間別総数(単位:万人)
抽出年月 2015/10 2016/10 2017/10 2018/10 2019/10 2020/10
外国人就労者数 907896 1083769 1278670 1460463 1658804 1724328

1号特定技能外国人の受入状況

国名 ベトナム フィリピン 中国 インドネシア カンボジア
人数 4547 601 406 370 141
国名 タイ ミャンマー ネパール その他 合計
人数 88 113 38 56 6360

※上記の表は、(2022年3月末時点)国土交通省の建設分野における外国人受入れの資料のデータより抜粋

■1号特定技能外国人とは・・・「技能試験」及び「日本語試験」に合格、または技能実習2号を良好に修了することで、該当分野に限り通算5年間までの就労が可能な資格

■2号特定技能外国人とは・・・複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験)に加えて、技能検定1級の水準に相当する建設分野特定技能2号評価試験に合格した者

外国人材の活用においては、言語や文化の違いによるコミュニケーション問題、生活支援や技能向上のためのサポート体制の構築など、受け入れ企業側の体制整備も重要な課題となっています。また、技能実習制度から特定技能への移行を円滑に進めるための支援や、企業側の受け入れノウハウの共有なども必要とされています。

職種別の状況

職種 とび 建設機械施工 型枠施工 鉄筋施工 内装仕上げ 左官 建築大工 配管 コンクリート圧送
人数 1450 1118 988 985 423 377 356 254 141
職種 建築板金 表装 屋根ふき 保温保冷 鉄筋継手 土工 電気通信 トンネル推進工 合計
人数 89 50 41 37 19 22 8 2 6360

※上記の表は、(2022年3月末時点)国土交通省の建設分野における外国人受入れの資料のデータより抜粋

職種別では「とび」「建設機械施工」「型枠施工」「鉄筋施工」が上位を占めており、これらの職種における人材需要の高さがうかがえます。一方で、「電気通信」や「トンネル推進工」などの専門性の高い職種では、外国人材の活用がまだ限定的である現状も見て取れます。このことから、特定の職種においては、さらなる教育訓練プログラムの充実や、技術伝承の仕組みづくりが求められているといえるでしょう。

★建設業の外国人の受入れを検討されている企業様はコチラ

建築省人化(省力化)の推進

人手不足の解決策の一つが、建築省人化(省力化)です。労働力不足を技術革新で補うという発想は、日本の建設業界に新たな変革をもたらしています。

大手ゼネコンを中心に各社ロボットの導入で省人化を進めています。特に、危険作業や単純作業におけるロボットの活用は、安全性の向上と生産性の向上の両面で効果を発揮しています。さらに、BIM(Building Information Modeling)やCIM(Construction Information Modeling)の導入により、設計から施工、維持管理までの一貫したデジタル化も進んでいます。

外国人雇用を進める一方、雇用以外の視点で考えると、工期短縮を実現できるICT施工(AI)、ロボットの導入を採用し省人化を図ることも有効であると考えられています。これは単なる人手不足への対応策というだけでなく、建設業の生産性向上や働き方改革にも寄与する重要な取り組みです。

大手ゼネコンのロボット導入事例

これらのロボット導入により、建設現場における単純作業や危険を伴う作業の自動化が進んでいます。例えば、大成建設の現場巡視ロボットは、建設現場の安全点検業務を効率化し、人的ミスを減らすとともに、点検の質の向上にも貢献しています。鹿島建設の自動清掃ロボットは、夜間の清掃作業を自動化することで、労働時間の削減と清掃品質の均一化を実現しています。

また、これらのロボット技術の開発は、大手ゼネコンだけでなく、中小建設会社やスタートアップ企業との連携によっても進められており、業界全体のイノベーションエコシステムの形成にも寄与しています。今後は、これらの技術の標準化や普及促進のための支援策が重要となるでしょう。

また、建設キャリアアップシステムという制度もあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

→ 建設キャリアアップシステムとは

一人親方と労災保険の重要性

建設業界における人材確保の多様化が進む中、注目すべき存在として「一人親方」があります。

一人親方とは、従業員を雇わずに個人事業主として建設作業に従事する技能者のことです。特に熟練した技術を持つベテラン職人が引退後に一人親方として現場に戻るケースや、独立志向の強い若手技能者が早期に独立するケースが増えています。

近年の建設業界では、この一人親方の数が増加傾向にあり、人手不足を補う重要な労働力として認識されています。

しかし、個人事業主である一人親方は、通常の労働者とは異なり、労災保険に自動的に加入する制度がないため、業務中の事故やケガに対する保障が不十分であるという課題があります。

建設業界の労災保険については以下の記事でも詳細を確認できます。

→ 建設業界の労災保険
→ 建設業界の独立に労災保険は必須

一人親方の労災保険特別加入制度

この問題を解決するために設けられているのが「労災保険特別加入制度」です。

この制度は、本来労災保険の適用対象とならない一人親方等が、特別に労災保険に加入できるようにする制度です。特別加入することで、業務中や通勤途上の災害について、労働者と同様の保護を受けることができます。

特別加入するためには、一人親方等で構成する「特別加入団体」を通じて申請を行う必要があります。具体的には、以下の手続きが必要になります。

  1. 一人親方として初めて加入する場合は、特別加入団体(建設業の場合は建設業労災保険組合などが一般的)を通じて、労働基準監督署に申請書を提出します。
  2. 申請書には、従事する業務内容や希望する給付基礎日額などを記入します。
  3. 都道府県労働局長の承認を受けることで、特別加入が成立します。

特に建設業は危険を伴う作業が多いため、一人親方にとって労災保険への特別加入は安全に働くための重要な安全網となります。また、元請企業にとっても、現場で働く一人親方が労災保険に加入していることは、安全管理上のリスク軽減につながります。

当団体は国の認可を受けており、比較的安価な料金や充実のサービスで一人親方労災保険を支援しています。未加入や乗り換えを検討している方はぜひご覧ください。

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建設業は目まぐるしく変化している

建設業界は、2024年問題(法改正や環境変化)にどう向き合っていくのか……ターニングポイントを向かえることとなりますが、「人手不足」という大きな問題において自社で労働環境の整備、採用方法と手段の見直しといった自助努力はもとより、ICT施工の導入で「省人化」を促進すること、さらに労働力の確保においては「外国人技能実習生」の受入れの検討など、早急に対策が求められています。

また、多様な働き方が広がる中で、一人親方などの個人事業主の役割も重要になってきています。彼らの安全を守り、安心して働ける環境を整備するためにも、労災保険特別加入制度の周知と活用促進が不可欠です。特に中小建設企業や個人事業主においては、この制度の理解と活用が十分でない場合もあるため、業界団体や行政による情報提供や加入促進の取り組みが求められます。

人材確保の多様化と技術革新の両輪で、建設業界の持続可能な発展を実現していくことが、今後重要となっていくでしょう。

投稿者プロフィール

一人親方労災保険連合会 浅井淳平
一人親方労災保険連合会 浅井淳平代表理事
いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
『建設業界を元気にしたい!』そんな思いで建設業に従事する方々が抱える問題点や悩み事に少しでもお役に立てれば幸いです。
【略歴】
・2011年 某外資系保険会社に入社
・2013年 労災保険特別加入団体の運営を開始
・2016年 大手生命保険会社100%出資代理店へ転身
・2024年 一人親方労災保険連合会【親方プラス】を設立 現在に至る
【趣味・特技】
キャンプ、つり、スキー、サッカー、ゴルフ…etc
 
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