一人親方労災保険とは
労働者を使用しないで会社にも雇用されずに個人で事業者から仕事を請け負っている方が加入できる労災保険です。
一人親方の概要
一人親方とは法的な資格のような一定基準は存在しませんしそれぞれの立場や働き方が多岐に渡ります。 一人親方は一般的に労働者を使用せずに、特定の事業を行う人のことをいいます。建設業の場合、他人従業員を使用せずに自分を含めた家族だけで事業を行う人が一人親方の代表例となります。
特別加入制度とは
労働者以外の方のうちその業務の実情や災害発生状況からみて、特に労働者に準じて保護することが適当であると認められる一定の業種の方に対して、国が特別に労災保険の任意加入を認めているのが、特別加入制度です。
対象の業種
- 自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業
- 土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復、修理、変更、破壊若しく は解体又はその準備の事業
- 漁船による水産動植物の採捕の事業 ・林業の事業
- 医薬品の配置販売の事業 ・再生利用の目的となる廃棄物等の収集、運搬、選別、解 体等の事業
- 船員法第一条に規定する船員が行う事業
上記の業種で労働者を使用しないで行うことを常態とする者。
※上記対象の業種の中で当団体では、建設業の一人親方様が対象で特別加入いただくことができます。
【親方プラスで加入できる職種】
建設業として特別加入できる一人親方の職種は下記のような職種の方が対象となります。特に職種の限定はなく、土木・建築その他の工作物の建設・改造・保存・修理・変更・破壊もしくは、解体又はその準備の作業(設計・監理業は除く)に従事している者及びその家族従業者が対象となります。
・建設現場での解体作業 ・大工 ・電気工事 ・配管工事 ・造園工事 ・内装工事 ・内装仕上工事 ・ガス工事 ・とび ・足場作り ・ガラス工事 ・道路工事 ・橋げた工 ・鉄筋工事 ・土木工事 ・左官工事 ・屋根工事 ・ほ装工事 ・タイル、れんが、ブロック工事 ・石工事 ・板金工事 ・塗装工事 ・防水工事 ・フィルム工事 ・熱絶縁工事 ・水道工事 ・さく井工事 ・建具工事 ・消防施設工事 ・掘削工事※以上の職種以外にも建設業で特別加入に該当する場合がございます。 ご不明な点がございましたらお問い合わせください。
■造園工事業の補償範囲
「樹木の剪定のみ」「除草のみ」で請負われたお仕事は、建設業に該当しないため、事故が発生しても補償対象外となる可能性があります。また、仕事を発注する元請事業者がいない現場(直請)は補償の対象外になりますので注意が必要です。その旨、ご了承いただいたうえでお申込みをお願いします。
■特定業務に該当する可能性がある職種
塗装工事、防水工事、鍛冶工事、溶接工事、はつり工事、解体工事等を行われている方は「粉じん作業」「振動工具使用」「鉛または化合物使用」「有機溶剤使用」に該当する可能性が高い職種となります。お申込み時に必ず告知してください。※特定健康診断の受診が必要となります。
■現場管理(測量・設計・監督等)の補償範囲
現場で実作業を行う職人様と同等の作業における事故については、補償対象ですが、それ以外の事務所内、見積作業、監督業務中においての事故は補償の対象外となります。その旨、ご了承いただいたうえでお申込みをお願いします。
補償が受けられる条件
一人親方労災保険に加入していてケガをした場合、必ず補償が受けられるわけではありません。補償される条件について下記に該当する場合が対象となりますので、しっかり理解しておきましょう。
補償条件
- 請負契約に直接必要な行為を行う場合
- 請負工事現場における作業及びこれに直接附帯する行為を行う場合
- 請負契約に基づくものであることが明らかな作業を自家内作業場において行う場合
- 請負工事に関する機械や製品を運搬する作業及びこれに直接附帯する行為を行う場合
- 突発事故(台風、火災等)により予定外に緊急の出勤を行う場合。これに加え、<例として>一人親方等が東日本大震災の復旧・復興のための除染作業を行う場合も労災補償の対象に含まれます。
一人親方等の死亡災害発生状況
出典元:厚生労働省HP 令和5年一人親方等の死亡災害発生状況概要特定健康診断の受診
一人親方が新たに労災保険に特別加入する場合、以前に特定作業従事者だった方に対して、その従事していた業務ごとの健康診断の受診を義務付けています。その理由は、民間の生命保険などと同様で加入する以前の業務を起因として発生した疾病(始期前発病)に対する保険給付を行わないよう診査を行っているからです。
※健康診断証明書の未提出や、あるいは、業務内容、業務歴等の虚偽申告が判明した場合には不承認や承認取消となることがあります。
まとめ
労災保険とは、事業主に雇用され労働に従事する労働者を保護する必要性から、業務災害及び通勤災害に対する保護を目的とした制度となります。請負契約で一人で仕事をする請負人、すなわち一人親方等の労災保険への加入を「特別加入」といいます。
特別加入者と補償の対象範囲を確認したうえで、自分が一人親方に該当すれば特別加入団体(事務組合)を通じて労災保険に加入することができます。一人親方として工事現場で事故に遭いケガをした際、一人親方は労働者として認められないため元請会社の労災保険は原則使えません。自分の身は自分で守ることとなりますので、未加入者はすぐに労災保険へ加入することをおすすめします。